本論では平安前期の漢詩人である小野篁説話の現代おける流通について考える。小野篁は多くの説話を持つ人物であるが、特に冥官説話によって知られる人物である。1990年頃からは、ライトノベル、漫画、児童文学の中に小野篁がキャラクターとして出てくるようになる。1990年代以降に流通している小野篁のキャラクターについて考察し、1990年代以降の小野篁というキャラクターが担ったものを考えてみたい。本論では『からくさ図書館来客簿』シリーズを対象とする。
本論文所要探討的是平安時代初期的漢文詩人小野篁傳說的流通景況。小野篁的傳說很多,特別是他的冥間判官故事很聞名。從1990年代開始他經常出現於輕小說、漫畫、兒童文學中。筆者計畫考察1990年代以後廣為出現的人物小野篁,以及這個角色所乘載的思想與對於社會的看法。論文中討論的文本是「唐草圖書館來客簿」系列。|This paper examines the contemporary circulation of Ono noTakamura's tales, a Chinese poet of the early Heian period. Ono Takamura is a figure with many legends, and is especially known for his tales about the underworld. I would like to consider what the character Ono Takamura has played since the 1990s. This paper will focus on the "Karakusa Library Visitors' Register" series.